企業におけるセキュリティ対策の例を紹介!対策の重要性・身近な例について

セキュリティ対策は、IT機器が発達した今、現代のビジネス環境において欠かせない要素です。

情報漏洩やサイバー攻撃による被害を防ぐためには、適切な対策を講じることが必要です。この記事では、企業が実施すべきセキュリティ対策の具体例とその重要性について解説します。

目次

企業におけるセキュリティ対策とは

企業におけるセキュリティ対策とは、情報資産を保護し、サイバー攻撃や不正アクセス、データ漏洩などのリスクから企業を守るための取り組みです。情報セキュリティは企業の信頼を支える基盤であり、ビジネスの継続性を確保するために欠かせません。

例えば、社内ネットワークの安全を確保するためのファイアウォール(※)の設置、従業員の意識向上のためのセキュリティ教育、顧客情報の暗号化などが挙げられます。こうした対策を講じることで、企業は顧客や取引先との信頼関係を維持し、社会的な責任を果たすことができます。

※ファイアウォール:インターネットと企業内のネットワークの間に設置される「防護壁」のようなもの。あらかじめ決められたルールに基づいて、外部から入ってくるデータや情報が安全かどうかをチェックし、危険なものはブロックする。

企業におけるセキュリティ対策の重要性

企業がセキュリティ対策を行うことには、以下のような重要な理由があります。

システムの停止によるビジネスの機会損失を防ぐ

サイバー攻撃やシステム障害が発生すると、業務システムが停止し、ビジネスの機会損失が発生するリスクがあります。特に、オンラインサービスを提供する企業では、システムダウンが直接的な収益損失を招くことがあるため、セキュリティ対策は非常に重要です。

信用失墜を防ぐ

情報漏洩やサイバー攻撃による被害が発生すると、企業の信用が失墜し、取引先や顧客からの信頼を失う可能性があります。信用は一度失うと回復が難しいため、セキュリティ対策を徹底することで信用失墜を防ぐことが求められます。

賠償金など経営責任や法的責任の発生を防ぐ

情報漏洩などのセキュリティ事故が発生した場合、企業は賠償金の支払いを求められることがあります。また、法的責任が問われることもあり、経営層にとって大きなリスクとなります。適切なセキュリティ対策を講じることで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。

情報流出から顧客や取引先を守る

顧客情報や取引先の情報が流出することで、顧客や取引先に多大な被害を与える可能性があります。情報流出が発生すれば、企業の信頼は失われるだけでなく、法的な制裁も受けることになります。セキュリティ対策を徹底することで、これらの情報を守り、関係者との信頼関係を維持することが可能です。

企業におけるセキュリティ被害の事例

企業が直面するセキュリティ被害の具体的な例を紹介します。

サイバー攻撃に遭ってしまう

サイバー攻撃は、企業のシステムやネットワークに対して行われる悪意のある攻撃行為です。たとえば、DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)により、企業のウェブサイトがダウンし、顧客がサービスを利用できなくなるケースがあります。また、フィッシング詐欺による機密情報の窃取や、ランサムウェア攻撃によるデータの暗号化・人質化なども深刻な問題です。

事例:従業員らの個人情報が流出した三菱電機子会社

会社三菱電機ホーム機器
事例内容従業員ら3893人の個人情報が流出。さらに、家電製品の顧客約231万人についても、別のサーバーで保管していた同様の個人情報が閲覧された。
被害内容悪用は確認されていない。

2024年8月、三菱電機子会社である「三菱電機ホーム機器」にて、従業員や取引先の情報が流出した事例がありましたが、具体的な悪用は幸いにもありませんでした。

※情報参考元:朝日新聞

マルウェアへ感染してしまう

マルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染すると、企業のデータが盗まれたり破壊されたりするリスクがあります。ランサムウェアやスパイウェアなどがその例で、これらは企業のシステムに侵入し、情報を窃取するかシステムを無力化することを目的としています。

事例:株式会社NTTデータ関西

会社株式会社NTTデータ関西
事例内容ヘルプデスク業務で使用しているPC8台のうち1台のPCにマルウェア(Emotet)が感染し、攻撃者からの不審なメールが発信された。
被害内容公表無し

2022年7月に、当時かなり流行していたEmotetに感染し、なりすましメールが送付されてしまいました。

Emotet株式会社NTTデータ関西は、公式でも声明を出しておりますが、被害窓口が設けられているのみで、具体的な被害は公表されていません。

※情報参考元:株式会社NTTデータ関西

内部不正が行われてしまう

内部不正とは、従業員や取引先など内部の人間が企業情報を不正に持ち出したり、悪用したりする行為です。例えば、退職者が企業データを持ち出して競合他社に転職するケースや、従業員が顧客データを外部に漏洩するケースがあります。このようなリスクに対処するためには、アクセス権の管理やログ監視が重要です。

事例:内部犯行とされるDMM Bitcoinのビットコイン不正流出事件

会社DMM Bitcoin
事例内容482億円相当のビットコインが流出してしまった。
被害内容482億円相当の損害。

2024年6月のDMM Bitcoinのビットコイン不正流出は、被害総額の高さに世間をにぎわせました。技術面から内部犯行であることはほぼ確実にわかっており、DMMグループが補填するかたちで事態は収束しています。

※情報参考元:DeFIRE

企業におけるセキュリティ対策の例

では、企業が実施すべき具体的なセキュリティ対策について解説します。

1. パスワードの管理を徹底する

パスワードは、システムやデータにアクセスするための重要な「鍵」です。企業においては、以下のようなパスワード管理のルールを徹底することが必要です。

強力なパスワードを設定する

 短いパスワードや簡単な単語を避け、大小文字、数字、特殊文字を組み合わせたパスワードを使用します。

定期的な変更を行う

 パスワードを定期的に更新することで、万が一の情報漏洩時にもリスクを軽減します。

二要素認証を導入する

 パスワードとともに、スマートフォンなどの認証デバイスを用いることで、より強固なセキュリティを実現することを推奨します。

2. セキュリティ対策ソフトの導入

ウイルス対策ソフトやスパイウェア対策ソフトなどのセキュリティソフトは、マルウェアや不正アクセスから企業のシステムを守るための基本的なツールです。これらのソフトはリアルタイムで脅威を検出し、感染を防止する役割を担います。

ウイルス対策ソフトの更新

 最新のウイルス定義ファイルを使用するため、常にソフトウェアを最新の状態に保つ。

ファイアウォールの設定

外部からの不正アクセスをブロックするファイアウォールを設定し、企業内ネットワークへの侵入を防ぐ。

定期的なスキャン

定期的にシステム全体をスキャンし、潜在的な脅威を早期に発見・除去する。

3. 社員へのセキュリティ教育を行い、個人でできることを意識する

従業員一人ひとりがセキュリティ意識を持つことが重要です。定期的なセキュリティ研修を実施し、フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングなどの最新の脅威について教育することで、リスクを減らすことができます。

定期的なセミナーや研修の開催

フィッシング詐欺やマルウェア感染のリスクについての知識を深めるため、定期的にセミナーや研修を行います。

セキュリティポリシーの周知

 社内のセキュリティポリシーや行動規範を全社員に明示し、従業員が自覚を持って行動するよう促します。

実践的なトレーニング

実際のフィッシングメールを模倣した訓練などを実施し、社員がリスクに対応できるように訓練しましょう。多くの大手企業でも、実際の訓練が告知無しで行われており、それをトレーニングやセキュリティ意識の向上に役立てているケースが多いようです。

専任のセキュリティチームや外部の会社の連携

企業は、日々進化するサイバー脅威に対応するため、最新の情報を収集し続けることが重要です。専門のセキュリティチームを設置するか、外部のセキュリティ会社と提携して、脅威インテリジェンスを活用することが推奨されます。

4. アクセス権限の管理

企業の内部情報へのアクセスは、必要最低限の範囲に制限することがセキュリティの基本です。全員が全ての情報にアクセスできるようにするのではなく、役割に応じた権限を設定します。

最小権限の原則

 必要最低限の権限だけを付与し、重要な情報へのアクセスを制限しましょう。

ログ管理と監査

 誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを記録することで、不正なアクセスや操作を検出しやすくしましょう。

定期的な権限の見直し

社内の役割変更や退職などに合わせて、アクセス権限を定期的に見直しましょう。

5. データの暗号化

企業の重要なデータを外部の攻撃者から守るためには、データの暗号化が有効です。暗号化することで、仮にデータが漏洩したとしても、容易に解読されることはありません。

通信の暗号化

 SSL/TLSなどのプロトコルを用いて、インターネットを介したデータ通信を暗号化しましょう。

データの暗号化

 デバイス内やサーバー上のデータも、AES(Advanced Encryption Standard)などの強力な暗号化技術を使用して保護することが大切です。

バックアップの暗号

 重要なデータのバックアップも暗号化し、安全な場所に保管することを推奨します。

6. 物理的セキュリティの強化

企業のセキュリティ対策は、デジタル面だけでなく、物理的な対策も含まれます。例えば、サーバールームやオフィスへの不正アクセスを防ぐための対策が必要です。

入退室管理システム

 指紋認証やカードキーを用いて、特定のエリアへのアクセスを管理しましょう。

監視カメラの設置

 施設内外の監視カメラを設置し、24時間体制で監視しましょう。

セキュリティガードの配置

重要な施設やイベント時には、専門のセキュリティガードを配置しましょう。

7. 定期的な脆弱性診断とペネトレーションテスト

システムの弱点を見つけて対策を講じるために、定期的な脆弱性診断とペネトレーションテスト(侵入テスト)を実施します。これにより、潜在的な脆弱性を早期に発見し、修正することができます。

脆弱性スキャン

 専用のツールを使用して、システムやネットワークの脆弱性をスキャンしましょう。

ペネトレーションテスト

 外部の専門家が実際に攻撃を試みることで、防御の効果を検証しましょう。

診断結果の共有と改善

 診断結果を関係者に共有し、必要な修正を迅速に行いましょう。

8. バックアップとリカバリープランの策定

データの損失やシステム障害に備えて、バックアップとリカバリープランを策定しておくことが重要です。万が一の事態でも、迅速に復旧できるような体制を整えます。

定期的なデータバックアップ

重要なデータを定期的にバックアップし、複数の場所に保管しましょう。

災害復旧計画(DRP)の策定

自然災害やサイバー攻撃に備えて、具体的なリカバリープランを作成し、関係者に周知しましょう。

バックアップのテスト

バックアップが正常に機能するか、定期的にテストを行い、問題がないか確認しましょう。

企業のセキュリティ対策のご相談ならITDへ

セキュリティ対策は、一度導入すれば終わりではなく、継続的に改善と強化を図る必要があります。

ITDでは、企業のニーズに合わせた最適なセキュリティ対策の導入をサポートしています。

中小企業こそ、セキュリティ対策が不完全で、犯罪に狙われてしまうケースが多いです。専門家である我々が、最新のセキュリティ対策を取り入れられているかチェックしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

企業におけるセキュリティ対策は、ビジネスの安全と信頼を守るための必須事項です。適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑え、持続的な成長を実現することができます。セキュリティの重要性を理解し、継続的な改善を目指すことが、企業の成功につながる鍵です!

ぜひセキュリティ意識を持って取り組んでいきましょう!

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