カスハラ対応マニュアルの作り方!厚生労働省のガイドラインやひな形を紹介

カスタマーハラスメントへの対策は現代の企業活動において解決すべき重要な課題です。
厚生労働省のガイドラインに基づいた実効性のあるカスハラのマニュアルを作成することは、従業員を守るための必須要件となります。
本記事では、カスハラ対応マニュアルの作成手順や対策を怠った際の企業責任、現場で活用できるひな形について解説します。
- カスハラの対応マニュアルを初めて作成する人
- 厚生労働省のガイドラインに沿った信頼できる基準を知りたい人
- 自社の従業員を守るための具体的な対応フローを構築したい人
カスハラの概要
カスハラ(カスタマーハラスメント)の概要を正しく把握することは、適切な対応策やマニュアルを構築するための前提条件です。
厚生労働省が定義する基準をもとに解説します。
厚労省ガイドラインにおけるカスハラの定義
厚生労働省のガイドラインにおいて、下のように定義されています。
職場において行われる
①顧客等の言動であって、②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの要素を全て満たすもの
参考:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和 8 年度改訂版)
単なるクレームとは異なり、従業員に精神的や身体的な苦痛を与える不当な行為を明確に指します。
顧客の要望自体に理由があっても、暴言や長時間拘束を用いた時点でハラスメントに該当する可能性があるため、カスハラのマニュアルにはこの定義を正確に記載する必要があります。
カスハラの判断基準
商品に瑕疵がないのに金銭的な補償を求めたり、正当な理由があっても大声で怒鳴りつけたりする行為が該当します。
企業が独自にカスハラ対応マニュアルを作成する際は、他社事例も参考に明確なガイドラインを設定することが不可欠です。
カスハラ対策を怠った時の企業責任
カスハラ対策を怠ることは企業に多大な法的および社会的なリスクをもたらします。
マニュアルを整備しないことで発生する責任について解説します。
安全配慮義務違反
労働施策総合推進法の改正により、全事業主(BtoC・BtoB問わず)にカスタマーハラスメントの防止措置が義務化されました(2026年10月1日施行)。
企業には労働者が安全に働く環境を整備する法的義務があります。
カスハラ対応マニュアルの作成や相談窓口の設置などの措置を講じなかった場合、被害従業員から損害賠償を請求されるリスクも生じます。
従業員の離職
カスハラによる過度な精神的ストレスは、現場の優秀な従業員の離職に直結します。
理不尽な要求に対して組織的な守りがないと感じた従業員は企業への信頼を完全に失います。
人材流出を防ぎ慢性的な人手不足を避けるためには、実効性のあるカスハラのマニュアルを導入し、組織全体で毅然とした対応をとる体制が必要です。
企業イメージの失墜
従業員をカスハラから守らない企業は、ブラック企業としてのレッテルを貼られ企業イメージが著しく失墜します。
現代ではSNSの普及により企業の不適切な対応は瞬時に拡散されます。
悪評判が立てば新たな人材の採用活動にも致命的な悪影響を及ぼすため、カスハラマニュアルの作成と方針の公表が強く求められます。
行政指導のリスク
悪質なカスハラを放置する企業は、労働基準監督署などの機関から厳しい行政指導を受けるリスクが高まります。
国を挙げて対策が強化されており、将来的なカスハラの対応マニュアル義務化に向けた議論も進んでいます。
従業員の被害を放置する労働環境が発覚すれば、是正勧告の対象となるため注意が必要です。
生産性の低下
カスハラが横行する職場では、理不尽な対応に時間を奪われ職場全体の生産性が大幅に低下します。
カスハラの対応マニュアルが存在しない場合、個人の裁量でトラブルを解決しなければならず、心理的負担と業務効率の低下が連鎖します。
マニュアル化による業務負担の軽減が全体の生産性維持に効果的です。
カスハラマニュアル作成の手順
実効性のあるカスハラのマニュアルを作成するためには、厚生労働省のガイドライン等に基づいた段階的な手順を踏むことが重要です。
具体的な4つのステップを解説します。
Step1:基本方針の策定
経営トップが主導して「従業員の安全を最優先に守る」という理念を明文化します。
これがすべての対応フローの根幹となるため、自社における定義をカスハラ対応マニュアルの冒頭に明確に掲げることが重要です。
Step2:基本方針の社内外周知
社内には研修等でカスハラのマニュアル整備を伝え、社外にはホームページ等で悪質な行為にはサービス提供を拒否することを警告します。
この周知活動自体が、理不尽な要求に対する強力な抑止力として機能します。
Step3:一次対応フロー策定
一人で抱え込まず複数名での対応に切り替える体制や報告ルートを明確にします。
カスハラ対応マニュアル内にいつ誰にエスカレーションするかの基準を明記し、現場の負担を最小限に抑えることがトラブル長期化を防ぐ要となります。
Step4:相談窓口の整備
現場の上司に相談しにくいケースを想定し、人事部や外部弁護士などの第三者窓口を設けます。
連絡先はカスハラのマニュアルに必ず記載し、全従業員がいつでもアクセスできる状態を保つことで早期ケアが可能になります。
カスハラ対応マニュアルのひな形
カスハラ対応マニュアルには、現場の従業員が即座に活用できる具体的な項目を盛り込む必要があります。
実務でそのまま使えるひな形の構成要素を解説します。
カスハラ対策マニュアルの見本
この対策リーフレットを参考にして、自社に適切なカスハラ対策マニュアルを作成してください。
基本方針
厚生労働省のガイドラインを参照し、具体的にどのような行為がカスハラに該当するかの判断基準をリストアップします。
ここに従業員を守るという経営トップの強い意志を反映させ、以降の対応の正当性を裏付けます。
【要素例】
「カスタマーハラスメントは自社にとって重大な問題である」
一次対応フロー
事実確認のステップや単独対応を打ち切る判断基準を示します。
「5分以上同じ要求が続けば上司に代わる」といった明確な基準を設け、カスハラ対応マニュアルに従って機械的に判断できるように工夫します。
【要素例】
「事実関係が不明な段階では「不快な思いをさせたこと」への謝罪に留め、企業側の過失・非を安易に認めない」
二次対応手順
顧客への退去命令や証拠保全のための録音ルールを明記します。
証拠保全や悪質クレームのブロックには、通話録音などのカスハラ対策機能が標準搭載されたNTTのビジネスフォンや、迷惑電話フィルタ機能を備えた「トビラフォン」などの専用機器を導入し、システム的に対策することも有効です。
【要素例】
「膠着状態に至ってから一定時間(例:30分〜1時間等)を超える居座りや長電話に対する退去要求・電話切断ルール」
対応フレーズ
「これ以上の対応はいたしかねます」など、相手の要求を断るための定型文を用意します。
個人の言葉ではなく組織としての公式回答として伝えることで、従業員の精神的負担を減らし二次トラブルを防ぎます。
【要素例】
「上長(担当部署)へ確認いたしますので、大変恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか」
被害従業員のケア
事案解決後のヒアリングや医療機関への受診勧奨の仕組みを整えます。
一定期間の配置転換や特別休暇の付与などの支援策をカスハラの対応マニュアルに明記しておくことで、従業員の離職を防ぎます。
【要素例】
「プライバシーが守られた場所での丁寧な事情聴取と、不利益取扱いをしない」
まとめ
企業が自社の従業員を理不尽な要求から守るためには、厚生労働省の基準に沿ったカスハラ対応マニュアルの作成が不可欠です。
対策を怠って現場を放置することは、安全配慮義務違反などの法的リスクだけでなく、深刻な人材流出や企業イメージの悪化を直接的に招きます。
本記事で解説した4つの作成手順やひな形を参考に、自社の業務形態に合わせた具体的なルールを整備してください。
カスハラのマニュアルを組織全体で運用して現場の負担を減らし、毅然と対応できる安全な労働環境を構築しましょう。
自社の業務形態に合わせた具体的なIT対策や、安全な労働環境の整備をご検討の企業様は、ぜひ一度ITDへご相談ください。
弊社では、カスハラ対策機能を備えたNTTのビジネスフォンや、悪質な電話を自動判定・録音する「トビラフォン」などの専用機器も取り扱っております。
専門のスタッフが課題に合わせた最適なシステム構成をご提案し、従業員が安心して働ける職場づくりをサポートいたします。



